学校換気対策の補助金

学校の空気環境改善に向けた対策への補助金の現状について、自由民主党政務調査会長萩生田光一氏事務所より情報提供いただきました。

啓発活動の一環と理解しております。同事務所ならびに文書を作成された文科省のご担当に感謝いたします。
 

文科省による補助金

文科省のQ&Aによれば、「学校が教育活動を継続するための感染症対策について、支援はあるのか」という問いに対して、「累次の補正予算により学校の感染症対策等の支援を行ってきています」との回答が掲載されています。 

内容を抜粋すると、

  • 令和3年度の補正予算においても、校長の判断で迅速かつ柔軟に対応することができるよう学校教育活動の円滑な運営を支援するため、各学校の規模に応じて一定額を補助する予算を計上し、令和4年度に繰り越して支援を行っております。 
  • 具体的には、消毒液や体温計、二酸化炭素モニター、サーキュレーターなど、学校における感染症対策の強化に必要な消耗品・備品の購入や、教室等の消毒作業を外注するために必要な経費を支援しています。

となっています。今回文科省より提示された資料は、令和4年度について、概要をまとめたものになります。


感染症流行下における学校教育活動体制整備事業

文科省資料抜粋

  • 令和4年度第2次補正予算: 200億円
  • 補助対象: 小学校、中学校、高等学校、特別支援学校等
  • 補助率: 公立・私立1/2、国立10/10
  • 募集期間: 令和5年1月11日~2月3日
  • 申請要件:
    • 既に満額の交付決定を受けている学校の設置者も、新たに申請することが可能
    • 「学校における換気対策整備支援」(CO2モニター、サーキュレータ、空気清浄機等の購入)に係る取組も必ず含めること 
 
文科省作成(萩生田氏事務所提供)
 
換気対策設備の設置状況に係るアンケート調査結果はこちらから閲覧できます。
 

解説と提言

解説

令和4年度第2次補正予算は締め切られていますが、余った分があれば再募集されたり、令和5年度で新たな補正予算が出たりする可能性もあります。自治体で活用されていないようであれば、働きかける余地があります。 

令和4年度の情報は、文科省が公開している令和4年度文部科学省第2次補正予算 事業別資料集(P.112)でも概要を確認することができます。

令和5年度は、文科省の令和5年度 概算要求主要事項(P.26)の中に「学校保健の推進と感染症対策の充実」として「感染症リスクを可能な限り低減し、子供たちの学びを着実に継続させるため、学校における感染症対策に資する支援」との名目で予算の記載があります。

令和5年度にはマスク着用が緩和される予定ですので
空気環境改善に向けた換気・空気環境設備に関連して、令和4年度を上回る補正予算が必要です。 


提言

米国ではホワイトハウス主導で、学校が安全に再開できるように、対策費用として米国救済計画法(American Rescue Plan Act of 2021)に基づき高校以下の学校に1220億ドルを投資しています。
 
 “COVIDの誤解を解こう。家庭、学校、企業における適切な換気と空気濾過が、いかにCOVID19の感染を減らすことができるかを解説します”

“米国救済計画法では、P-12の学校が安全に再開できるよう1220億ドルを割り当てています。全米のさまざまな学校が、HVACシステムの交換や空気フィルターのアップグレードなど、COVID-19軽減の取り組みで、すでにこの資金を活用しています”

1220億ドルとは16兆円相当です。このうち24%が、学校の安全な運営を維持するために割り当てられており、これには、HVAC(暖房換気空調)と換気改善の100億ドル近く、つまり1兆円以上の予算が含まれているようです。学校や児童生徒の数が異なるため、単純には比較はできませんが、まさに桁違いの投資です。令和5年度にはマスク着用が緩和されるため、日本でもこれまで以上に積極的な投資が望まれます。
 
なお、マスク着用に関しては、すでに文科省による卒業式の通知に対して現場では戸惑いの声があがっています。
 

関連して、政府分科会と厚労省新型コロナ対策アドバイザリーボードのメンバーでもある岡部信彦氏は以下のように指摘されています。
 
岡部信彦氏
“マスクは感染症を防ぐのに効果があります”
“小中学校での授業中のマスク着用はこれからも必要な場合もある”
“流行がその地域で拡大している時は、学校でも着けた方がいい”


今後、5類移行に伴い感染症法に基づく発生届は終了し、定点医療機関による感染動向の把握に変更するとの方針が打ち出されており、地域の流行を掴むことが難しくなると予想されます。そのため学校で感染拡大しているかどうかを判断するうえで、文科省衛生管理マニュアルで示されている「地域住民や保護者等への情報提供 (p.74)」の重要性がこれまで以上に増すはずです。
 
 以上を踏まえ、文科省に対して3点を提言します。

  1. 学校換気対策関連の補助金:令和4年度を上回る補正予算を割り当て、補助率を可能な限り引き上げる。改めて自治体向けの通知を発出する。
  2. 4月以降の学校でのマスク着用:2月10日の政府対策本部決定で示された「着用を求めないことを基本とする」ではなく、1月27日に新型コロナ対策本部で決定された「着用は個人の判断に委ねる」に合わせる。
  3. 学校感染状況の情報提供:5類移行後の実態に即して情報提供を継続できるような指針を示し、自治体を後押しする。